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三月末にヴュルツブルク大学音楽学Bachelorの卒業論文を提出しました。
まだ学生やってたのか。とお思いになるかもしれません。
僕もそう思います。
演奏活動に並行して半ば趣味で始めた普通大学の学生生活ですが、やってみると学ぶことの楽しさは大きく、ついつい力が入ってしまいました。
結局最後は卒業する決意を固め、必死に単位を集めました。
なんとか無事Bachelorを取得することが出来そうです。

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提出した論文です。

2月と3月は、オーディションや演奏会で定期的に町を離れる以外は、ずっと大学の図書館にこもってドイツ語で論文を書いていました。
ラストスパートとなった今学期の半年の間は歌手としての活動と並行して4つの論文と卒業論文を書かなければならなかったので、心の底から大変な思いをしました。
また、手続き上のミスなども重なって一時は卒業が危ぶまれる事態にもなりかけたので、今一応大丈夫そうな状態になりホッとしています。やっと演奏家としての活動に集中できます。

Bachelorというのはいわゆる学士にあたりますね。
僕は3分の2が音楽学、3分の1がドイツ言語学、独文学という複合的な課程を選択しました。
この課程を通じて音楽学の知識が演奏家としての自分に大きなプラスになったのはもちろんですが、まあとにかくドイツ語の能力が大きく伸びました。

機会があれば少しづつこのブログでドイツ普通大学での学生生活について書けたらいいなあと思っています。

ですがそれも卒業が出来てこそ。
今もまだ100%は安心しておらず、結果がわかる5月を不安な思いで待っています。
何も起こりませんように…!!

でも今はとりあえずそのことは忘れ、4月の演奏会やオーディションを楽しんでいこうと思います。
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ご無沙汰しております。

さて、12月から2月にかけてミュンヘンの室内歌劇場 Pasinger Fabrikで二つのプロダクションに出演していました。
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一つは夏からの再演でヴェルディのルイーザ・ミラー.。
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こちらは悲劇的な内容とオペラ自体の無名さがたたり、あまり人気が出なかったので、やや少なめの公演回数による再演となりました。
12月から2月頭にかけて7回の公演に出演しました。
このオペラは音楽的な充実度では他の有名作品、椿姫やオテッロなどと比べても全く遜色ない作品だと思います。
ただ、室内歌劇場というやや気さくな空間に若干そぐわない部分があったのかもしれません。
大人気演目、とはならなかったのは残念ですが、終演後に知らないお客様からポジティブな感想をいただくことも多く、いい公演だったことは確かだと思います。

さて、そんな事情もあり、この冬は4人の歌手による「オペラの魔法」と題したオペラガラコンサートも並行して企画されました。
大晦日に初日を迎えたこの公演は7回公演がいつも満席、毎回最後はスタンディングオベーションで大変な人気演目になりました。
このコンサートは単なるオペラガラコンサートではなく、様々なオペラの名曲を通じて4人の間の人間模様の物語が紡がれていく演出になっており、またその合間には指揮者の解説・小噺が挿入されるという非常に意欲的な試みでした。出来そうでなかなか難しいこういう形式の演奏会がこうして大成功を収めたのは本当に嬉しいことです。
公演の写真をいくつかアップしておきます。
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今月15日にはヴュルツブルクで現代作曲家の歌曲作品のための音楽祭「新しい歌曲」に出演しました。
クラウス・キューンルとモーリッツ・エッゲルトの作品を演奏しました。

こちらが新聞の批評です。 僕の写真が大きく使われています。
新聞記事

(キューンルの歌曲集「井戸の底から」は)作品の抒情的で内省的なキャラクターがバリトンのトオル・イグチによって緊密かつ詩的に表現された。
(中略)
モーリッツ・エッゲルトの音楽言語はそれに対して、はじめは無害で伝統的に感じられるが、やがて際立った官能的放埓、形式と思想の万華鏡へと進んでいく。このことはトオル・イグチが三曲の中で適切に際立たせていた。

とあります。
キューンルさんは当日も演奏会にいらしていたのですが、熱烈なお褒めの言葉をいただき感激しました。
この音楽祭を通して素晴らしい作品に出会えたことに感謝です。
マヨルカ音楽祭ではオペラガラコンサートの他に歌曲の演奏会と宗教曲の演奏会に出演しました。

歌曲の演奏会はゲロルト・フーバーさんという世界的なピアニストにアネ・カトリン・ハインツマンという素晴らしい、
やはり有名なフルーティストと共演させていただきました。
バリトンとピアノとフルートという組み合わせのために書かれた曲を探すのは簡単ではありませんでしたが、いくつか面白い曲を発見出来ました。
その中の一曲を紹介します。



フランツ・ラッハナーという人の「教会墓地の舞踏会」という作品です。
死神が月夜に乙女のもとを訪れ、笛を吹きながら教会墓地で行われる死の舞踏会に誘うという曲です。



宗教曲の演奏会ではこの美しい教会でロッシーニの「小荘厳ミサ」のソロを歌いました。
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ロッシーニというと愉快なオペラ作品群が有名ですが、このミサ曲も大オペラ作曲家らしい歌いたくなる旋律があふれた傑作です。

日本でこの曲のソロを二回ほど歌ったことがあり、その時のことを懐かしく思い出しました。
10月の13日にはマヨルカ音楽祭でオペラガラコンサートに出演しました。

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巨大ポスター!

いつもながら錚々たるメンバーに囲まれて幸せな時間でした。
年も近いのにスカラ座などで歌っているソプラノのテレーザ・ダックスさんには特に刺激を受けました。

マヨルカの音楽会としては珍しく演奏会の批評が新聞に載りました。

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僕について特に何行か書いてくれています。スペイン語なので100%は理解できないのですが。
4人のソリストの声がよかったこと。それからトオル・イグチが演劇的表現力の豊かさで大きな拍手をもらっていたこと、などがかかれていると思います。



映像はあまりよく無いのですが、当日の録画から
「セビリアの理髪師」からフィガロのアリアです。