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テレプシコーラ(舞姫) 第2部 (4) (MFコミックス ダ・ヴィンチシリーズ)テレプシコーラ(舞姫) 第2部 (4) (MFコミックス ダ・ヴィンチシリーズ)
(2010/07/23)
山岸 凉子

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待ちに待ったテレプシコーラの最新刊がついに発売!
ああ…やっぱり面白い。

あまりにも続きが気になったのでどうしても我慢出来ず近くの図書館に行ってダ・ヴィンチ(テレプシコーラの掲載雑誌)の最新号まで読んでしまいました。
そしたらまさかの展開が…!
ぐお~。やっぱり続きが気になる。
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ずっとジェーン・オースティンが大好きで、18~19世紀のイギリスを舞台にした小説、映画、漫画を少しずつ集めています。

というわけでこちらの漫画、エマを読んでみました。

エマ (1) (Beam comix)エマ (1) (Beam comix)
(2002/08/26)
森 薫

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この漫画は19世紀末のイギリスにおける身分違いの恋を描いた、とにかく上質な恋愛漫画です。
ほとんどジェーン・オースティンのような古典文学の薫りさえただよっていました。
当時の文化がすごく詳しく描かれているので、歌の時代背景や演技の勉強にも役立ちそうで興味深く読みました。

と、そんなことよりも

この漫画にはオペラが数多く登場するんです!

手始めに主人公が『セビリアの理髪師』を観に行く場面。
『今の歌声は』のアリアを始めとする数々の名場面に乗せて登場人物の心の動きが語られます。
本当の恋を知らずこのオペラを無邪気に楽しむエレノアというキャラクターと、オペラを楽しむエレノアを冷静に見つめるウィリアムというキャラクターがうまく対比されていて素晴らしい。
オペラがこういう風に効果的に使われていると、それだけでニヤニヤしてしまいます。
僕が8月20日に木曜コンサートで歌う3重唱もすこし登場しました。

それどころか番外編ではこのセビリアの理髪師に登場した主役歌手3人の人生模様が描かれる始末。しかも内気なテノールが主役(笑)。

その他にもメンデルスゾーンの歌曲『歌の翼に』がほぼ全曲対訳つきで登場したり、
登場人物の一人が
「オペラの華はソプラノと言うが、舞台を引き締めるのはバリトンです。良いバリトンなくして舞台は成り立たない。近ごろではイアーゴを完璧にこなせるものが何人いることか…」と発言。

しかも、しかも。
あとがきにて作者の森薫さんが「バリトンはレオ・ヌッチが好きです」と述べておられます。

仲間ですね



これからも森薫さんの漫画に注目していきたいと思います。
いつか男性オペラ歌手を主人公にした漫画、描いてくれないかな~。

神童 (1) (Action comics)神童 (1) (Action comics)
(1998/06)
さそう あきら

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久しぶりに、さそうあきらの『神童』を読み返してみました。
ホント面白いです。この漫画。
ありえない荒唐無稽さ(笑)
でもそのめちゃくちゃさと現実的な部分で真摯に音楽を描いてる部分とのバランスが絶妙なんですよね。
それから、さそうさんは音楽の描写がすごくうまいと思います。
魚が画面に溢れ出したりクリムト調の背景が突然現れたりすると、ものすごい強制力で別世界につれていかれてしまう。

個人的にお気に入りなのが野球編です。
バッターボックスで目を閉じて天才的な聴覚を発揮し、
「見える、球道が…」
ストレートは「ベー トー ヴェン」
カーブは「ショス タコー ヴィチ」
「野球は、リズムだ!」

アホなノリがたまりません。これで素直に笑える自分は大人になったに違いない。


「鼻で 弾いた」

「私は 音楽だから」

この辺もやたら感動してしまいました。


もちろんこんな驚異的な能力をもった「神童」なんて現実には存在しないわけですけど(声楽家の歌でガラスが割れることも基本的にはありません)、現実の神童の抱える悩みとか日常とかを下敷きにしている感じがちゃんとあるので、不思議な説得力があります。(僕は神童じゃないのでただの推測ですが)
そしてラストの壮絶な展開がやたら心に残るんですよ。
クラシックに詳しくないひとでも専門に勉強している人でも楽しめるいい漫画だと思います。
是非ご一読を。
テーマ:クラシック
ジャンル:音楽