4月6日の金曜日は僕にとって忘れられない日となりました。
ドイツで初めて自分が主催したリサイタルが満員御礼の大成功に終わったからです。



日本とドイツの歌曲を組み合わせて、故郷を離れた人間の悲しみと喜びを、春夏秋冬の季節の巡りに合わせて一つの物語として表現した演奏会です。
表題の"Im Fernen nicht im Fremden geh'n" というのはリルケの詩から引用した一節で、日本語に訳すのが難しいです。
「遠くにありて人を遠ざけず」とか「異郷にあっても異邦人とならず」といったニュアンスでしょうか。



ヴュルツブルクにはシーボルト美術館という日本に特化した特別な美術館があり、テーマにぴったりなロケーションで演奏することができました。



5年来の付き合いの素晴らしいピアニスト、南アフリカ出身のエステアと久しぶりの共演。





美術館に連絡を取ることから始まり、曲のドイツ語訳の作成や、市の後援の申請、新聞社への取材のお願い等々、ドイツでドイツ語で制作業をやるのはなかなかの大変さがありました。
しかしその甲斐あって会場は満員となり、本当に多くの方からお褒めの言葉をいただき、このコンサートは自分にとって大きな自信となりました。
テーマと曲目の構成、そしてチラシのデザインが思った以上に好評だったので、ドイツの他のまちでもこのコンサートを開催できないか、これから売り込みをしていこうと思っています。


今回ヴュルツブルクで演奏会を主催してとても驚いたのが、行政の充実した支援です。
僕はもともとかなり小規模な演奏会を考えていたのでスポンサーや後援などは探さないつもりだったのですが、公演3週間前にたまたま情報を得て、ダメもとで市の後援を申請してみました。すると、なんと一週間後には返事が来て、少額ですが市から助成金をいただけることになりました。



また、結果としてこのような市内に無数にある演奏会ポスターの掲示版も１か所１週間１ユーロという信じられない廉価で使用させてもらうことが出来ました(掲示は業者がやってくれます)

ドイツでも巷ではよく「お役所仕事」というのが批判されるのですが、今回の素早く柔軟な対応にはとても驚かされました。

そんなこともあり、またいつかヴュルツブルクでリサイタルを企画できたらと思っています。