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日本からとんぼ返りして数日後。
6月22日にミュンヘンでオペラの初日を迎えました。
ヴェルディ作曲、ルイーザ・ミラーのミラーを歌いました。

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娘を失う悲しい父親の役です。

ヴェルディのオペラの大きな役を全幕歌うのは初めてのことで、これが僕のヴェルディ・デビューです。
ヴェルディのバリトン役というのは、モーツァルトのそれに比べ声に力強さとドラマチックな音色が求められ、特にヨーロッパでは、声が十分に成長するまでは無理をして歌ってはならないとされています。
今回の初挑戦でこの役をなんとか歌いきることが出来たことは大きな成長のあかしだと思っています。

今日までに八月までの全18公演のうち5公演を終えて、うまく行かなかった点を修正する中で、声楽的にも演劇的にもいろいろなものを得ていることを実感しています。時には3日連続公演という週末もあり、厳しい環境の中でこれからどんな発見、発展が続いていくのか楽しみでなりません。

新聞の批評でも歌と演技が褒められていて安心しました。

二人の素晴らしい歌手のミラーを参考まで。






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先週の金曜日から今週の月曜日まで四日間ほど日本におりました。
出身地伊那市でブラームスのドイツ・レクイエムのソロを歌うためです。

本当はもっと余裕をもって日本滞在を楽しみたかったのですが、ミュンヘンで明日木曜日オペラの初日に出演するため、こんなギリギリの日程になってしまい本当に残念です。
ただ、苦労をして帰った甲斐があった素晴らしい演奏会になりました。

ドイツ・レクイエムという曲は合唱にとってもオーケストラにもものすごく難しい曲なので、伊那谷の合唱団とオーケストラの準備がどんな状態か、不安な気持ちで土曜日の初めての練習に向かいました。
まったくの杞憂でした。
アマチュア離れした素晴らしい演奏だったと思います。
伊那谷の音楽文化のレベルの高さに誇らしい気持ちです。

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写真は指揮の横山奏さん、ソプラノソロの牧野元美さんと。

今回はお二人をはじめ、多くの音楽家、音楽愛好家の方たちと音楽談義に花を咲かせたことも楽しい思い出です。
また、考えてみるとドイツに越して以来この季節に日本に帰っていたことがなく、久しぶりの初夏の日本の自然の力強さ、緑の美しさに圧倒されました。

身体的にはハードスケジュールでクタクタになりましたが、精神的にはいい充電になりました。
呼んでいただけたことに感謝です。
更新が滞っていた一か月半の間にありがたいことにたくさんの演奏機会がありました。
ほとんど毎週末新しい曲目での本番があり、嬉しいことながら少し追い詰められながら過ごしていた日々でした。

4月22日日曜日
オペラガラ・コンサート in Gartenreich Wörlitz

ザクセン地方のヴェルリッツという町にはあまり知られていませんが庭園王国という世界遺産があります。
(素晴らしく美しい場所で、入場料もなく一日のんびりと散策して過ごせるのでとってもおすすめです)
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その庭園の一角にある小さな劇場でオペラガラコンサートに出演しました。

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ベルリン・ドイツ・オペラで長年指揮をされているケヴィン・マカッチェンさんのオペラを知り尽くした素晴らしいピアノに支えられて、ボエームの二重唱やセビリアの理髪師のアリア「私は町の何でも屋」などを歌わせていただきました。

新聞に批評が載っています。
https://www.mz-web.de/landkreis-wittenberg/eichenkranz-musikfest-produktion-aus-mallorca-ist-vor-allem-heiter-30065198

「トオル・イグチは豊かな声だけでなくコメディアンとしての才能でも輝きをみせた」
とあります。大きな写真も載っているのでよかったら見てみてください。

4月29日日曜日
モーツァルト&サリエリ in Burg Schaubeck

次の週にはシュトゥットガルト近郊のシラーが生まれた町、Marbach am Neckerで、シャウベック城というお城を中心とした室内楽フェスティヴァルに出演しました。
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僕が構成した「モーツァルト&サリエリ」の再演です。

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このコンサートは4回目の公演になりますが、実はこのプログラムは毎回出演者や演奏場所などの変化に合わせて毎回作り直しています。今回の演奏会では、全く初めて歌うアリアが二曲あり、また自分でドイツ語のMCも担当したので大変な苦労でした。
プログラムを作った過去の自分を呪いました。
お客さんとの距離が近い演奏会だったので、楽しんで聴いてくださる皆さんの反応に苦労が報われた思いがしました。

この次の週にはミュンヘンでオペラの稽古が始まったり、週末には久しぶりに教会合唱団の指揮のお仕事があり緊張する日々が続きました。

5月20日日曜日
モーツァルト&サリエリ in Gartenreich Wörlitz
少し前の日曜日には再び世界遺産の中で歌う機会をいただきました。
ヴェルリッツの皆さんに前回のオペラ・ガラコンサートが気に入っていただけたのか、前回を上回る満員売り切れの会場に胸があつくなりました。
今回は歌手4人による豪華版の「モーツァルト&サリエリ」でした。直前に出演者の変更があり、プログラムの手直しなどが必要となりましたが、その甲斐あって今までの公演の中でも一、二を争う良いものになったような気がします。

新聞批評

僕が昨年の初演時に書いた文章が引用されていて嬉しくなりました。

5月26日土曜日
スペイン・バロック in Augsburg, Goldener Saal

そして最も苦労させられたのが先週末の演奏会「スペインのバロック音楽」です。
正直に言うと、僕は特にスペインのバロック音楽の専門家というわけではありません。
それどころか今までこのジャンルに触れたことはいっさいありませんでした。
スペイン語もごく初歩の文法をかじった程度です。
そんな状態でしたが、一年ほど前に依頼を受け、この演奏会の曲目を僕が決定することになりました。
まったくのゼロに近い状態から、情報を集め、数えきれないほどの楽譜を収集し、コンセプトやバランスなどを考慮して一つのプログラムを構成するのは簡単ではありませんでしたが、それだけにやりがいのある素晴らしい日々でした。

今回の演奏会はアウグスブルクの最も有名な観光地であろう「黄金の間」で行われました。
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視覚的にもバロック音楽にぴったりの場所だったのですが、音響的にも非常に歌いやすく、この場所で歌うことが出来たのは大きな喜びでした。
また、共演者にも恵まれました。バロック音楽の世界の第一線で活躍されているガンバ奏者のヤコブ・ラッティンガー、リュート奏者のトルステン・ブライヒ、元ウィーン国立歌劇場専属でバイロイト音楽祭に出演されているソプラノ歌手のアレクサンドラ・シュタイナーなど、信じられないぐらいの豪華メンバーに囲まれ、幸せ度がさらに増しました。また、そんなメンバーのなかで確かにやっていけている自分の成長に大きな自信を感じた時間でもありました。


4月6日の金曜日は僕にとって忘れられない日となりました。
ドイツで初めて自分が主催したリサイタルが満員御礼の大成功に終わったからです。

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日本とドイツの歌曲を組み合わせて、故郷を離れた人間の悲しみと喜びを、春夏秋冬の季節の巡りに合わせて一つの物語として表現した演奏会です。
表題の"Im Fernen nicht im Fremden geh'n" というのはリルケの詩から引用した一節で、日本語に訳すのが難しいです。
「遠くにありて人を遠ざけず」とか「異郷にあっても異邦人とならず」といったニュアンスでしょうか。

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ヴュルツブルクにはシーボルト美術館という日本に特化した特別な美術館があり、テーマにぴったりなロケーションで演奏することができました。

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5年来の付き合いの素晴らしいピアニスト、南アフリカ出身のエステアと久しぶりの共演。

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美術館に連絡を取ることから始まり、曲のドイツ語訳の作成や、市の後援の申請、新聞社への取材のお願い等々、ドイツでドイツ語で制作業をやるのはなかなかの大変さがありました。
しかしその甲斐あって会場は満員となり、本当に多くの方からお褒めの言葉をいただき、このコンサートは自分にとって大きな自信となりました。
テーマと曲目の構成、そしてチラシのデザインが思った以上に好評だったので、ドイツの他のまちでもこのコンサートを開催できないか、これから売り込みをしていこうと思っています。


今回ヴュルツブルクで演奏会を主催してとても驚いたのが、行政の充実した支援です。
僕はもともとかなり小規模な演奏会を考えていたのでスポンサーや後援などは探さないつもりだったのですが、公演3週間前にたまたま情報を得て、ダメもとで市の後援を申請してみました。すると、なんと一週間後には返事が来て、少額ですが市から助成金をいただけることになりました。

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また、結果としてこのような市内に無数にある演奏会ポスターの掲示版も1か所1週間1ユーロという信じられない廉価で使用させてもらうことが出来ました(掲示は業者がやってくれます)

ドイツでも巷ではよく「お役所仕事」というのが批判されるのですが、今回の素早く柔軟な対応にはとても驚かされました。

そんなこともあり、またいつかヴュルツブルクでリサイタルを企画できたらと思っています。







3月23日と4月1日に二つの嬉しい本番がありました。
僕が企画・構成した「モーツァルト&サリエリ」という二人の作曲家の作品を聴き比べて、ナレーションとともに二人の本当の関係を探っていく演奏会がスイスとドイツで上演されたんです。
この企画はもともと2017年秋にスペインのマヨルカ島での演奏会があり、そのために一年以上の準備期間を経て実現にこぎつけたものです。スペインでの成功を受け、この特色あるプロジェクトがスイスとドイツでさらに演奏されることになったのは産みの親としてとても幸せな気持ちでした。

スイスではチューリッヒ湖畔の教会でのコンサートでした。
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この教会がなんと「芸術音響教会」という名前の教会で、響きの素晴らしさが印象的でした。
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チューリッヒ湖畔は高い山に囲まれた美しい地域で、故郷の長野県の風景を思い出し、元気をもらいました。

ドイツではバイエルン地方のゼーオン修道院という非常に有名な修道院で。
ただ、この修道院は車が無いとたどり着くのが難しい場所にあるので日本人には馴染みが薄いかもしれません。
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やはり湖畔の、美しい修道院です。

この修道院にはモーツァルトが何度も滞在しており、毎年春にモーツァルト週間と銘打ってコンサートシリーズが行われています。
今回僕たちはそのオープニングを飾らせていただきました。

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修道院内ではモーツァルトがお出迎え。

特にゼーオンでは満員御礼の大変盛り上がった演奏会になり、終演後も本当にたくさんの方から好評の声をいただきました。

https://www.traunsteiner-tagblatt.de/startseite_artikel,-salieris-rehabilitation-_arid,401528.html
その様子が新聞記事になりました。
批評家にとても良いことを書いていただいています。
コンサートのコンセプト自体についてのポジティブな批評に加え、僕個人に関しては「力強いバリトンの温かな声の響きと声の輝きでトオルイグチは我々を感嘆させた」とあります。

このプロジェクトはまだまだこの先いろいろな場所で公演が予定されています。
今後ますます多くの公演依頼がやってくることを願っています。